【Rust入門】Cargoを使ったプロジェクト作成とコンパイル方法を分かりやすく解説

Rustプロジェクトを作成する方法と基本的なコンパイル手順について解説します。
Rustのプロジェクト作成とコンパイル
Rustでのプログラム開発を始める際には、以下の流れで進めるのが一般的です。
- プロジェクトを作成する。
- プログラムを書く。
- コンパイルして実行する。
この記事では、この基本的な流れにおいてプロジェクト作成とコンパイルの方法を紹介します。
Cargoとは?
Rustには、Cargoという公式のビルドツール兼パッケージマネージャーが標準で付属しています。Cargoを使うことで「プロジェクトの生成」「コードのコンパイル」「外部ライブラリの管理」「テストやドキュメント生成」といった様々な作業を簡単に実施できます。
以降では、Cargoの各種コマンドを使いながら、プロジェクトの作成とコンパイルの流れを紹介していきます。
Rustプロジェクトの作成方法
ここでは、Visual Studio Code (VSCode) を例に説明しますが、実行するコマンドは他の環境でも共通です。まず、任意の場所にRustプロジェクト用のフォルダを作成し、VSCodeでそのフォルダを開きます。(例:D:\RustProject
)
ターミナルを開き、以下のコマンドを実行してください。
cargo new test_project
以下のように表示があり、指定した名前のフォルダを作成、必要なファイルが自動で生成されます。

Rustプロジェクトのフォルダ構成
cargo new
を実行すると、以下のような構成のフォルダやファイルが作成されます。

src
srcは、ソースコードを配置するフォルダです。main.rs
というRustプログラムファイルも自動で生成がされており、最初は以下のような「Hello, world!」を表示するようなプログラムとなっています。
fn main() { println!("Hello, world!"); }
Rustでは、fn main()
がエントリーポイントとなります。
target
targetは、プロジェクトをコンパイルした際の成果物が出力されるフォルダです。
Cargo.toml
とCargo.lock
Cargo.toml
は、Rustのビルドシステムである中核的な重要なファイルです。Rustプロジェクトごとに必ず1つ存在し、デフォルトでは以下のようになっています。
[package] name = "test_project" version = "0.1.0" edition = "2024" [dependencies]
[package]
セクションでは、プロジェクトの基本情報となるプロジェクト名やバージョンなどを指定し、[dependencies]
は、外部のライブラリの依存関係を記載します。
Cargo.lock
は、依存ライブラリの正確なバージョンを記録するファイルです。CI/CDやチーム開発で同じ環境を再現するために使われます。(例えば、Cargo.toml
にserde="1.0"
と記載されていても実際には、1.0.xxx
というようなバージョンが使われる可能性があるため、Cargo.lock
が必要です)
.gitignore
.gitignore
は、Gitの管理対象から除外したいファイルやフォルダを指定するためのファイルです。初期状態では以下のようになっており、target
フォルダが除外されています。これは、ビルドごとに中身が変わり、サイズも大きくなるためです。
/target
プロジェクトのコンパイルと実行
cargo run
(ビルドと実行)
作成したプロジェクトでコンパイルを実行してみましょう。作成したプロジェクトのフォルダに移動し、以下の cargo run
コマンドでコンパイルと実行を一括で実行することができます。
cargo run
実行すると以下のようにコンパイルが実行され、main.rs
の内容に従って Hello, world!
が表示されます。

cargo build
(ビルドのみ)
ビルドだけを行いたい場合は、以下の cargo build
コマンドを実行します。
cargo build

ビルドの成果物は、\target\debug\test_project.exe
(Windowsの場合)として生成されます。
--release
(リリースのためのコンパイルと実行)
上記で紹介した方法は、デフォルトではデバッグビルドになりますが、本番用や高パフォーマンスを要求する場合にはリリースビルドを行います。リリースビルドでは、以下のように --release
をつけて実行します。

リリースビルドをすることで、最適化された実行ファイル(target\release\
配下)が生成されます。ただし、デバッグビルドよりもコンパイル時間が長くなる傾向があることを理解しておいてください。
本番環境やパフォーマンスのテスト、配布用バイナリの作成の際には必ずリリースのオプションをつけてコンパイルするようにしましょう。
cargo check(実行ファイルを生成しないコンパイル)
以下の cargo check コマンドを使用すると、実行ファイルを生成せずにコンパイルの前段階(構文・型のチェック)だけを高速に行うことができます。

開発中にエラーがないかを素早く確認したいときや重たいビルドを避けたいときに便利です。
まとめ
Rustプロジェクトを作成する方法とRustの基本的なコンパイル方法について解説しました。
Rustでは、Cargoを使って簡単にプロジェクトの作成、ビルド、実行が可能です。
- 開発中:
cargo run
- ビルドのみ:
cargo build
- リリース時:
cargo run --release
- エラー確認:
cargo check
上記のように、目的に応じてコマンドを柔軟に使い分けましょう。プロジェクト構成や生成されるファイルにも少しずつ慣れていきましょう。